住宅団地の未来—地方の街づくりを考える

実家がある昭和に造成された団地の風景が変わりつつあります
団地開発から50年以上が経ち
次の世代に住み継がれることなく
多くの家が壊され、新しい家が建てられるようになっています
急傾斜の坂に狭い道路のため、土地の値段が安いのか
50年前の広い土地がそのまま一軒家として建てられることが多いですが
2軒に分割されて建売住宅を建てて売られることもあります
全ては土地の価格のせいだと思います
土地に絡む税金、そして土地を売っている不動産業者の収入の問題が大きいです
もしお金が同じ額だけ手に入るのなら
せめて一般市民が手に入れられる土地の面積を広くしてほしい
土地単価を下げて広い土地を提供しないと
街はますますいびつな住宅ばかりが建ち続けることになります
土地の値段が上がるほど、住宅は小さく、細く、細分化されていきます
地方都市が東京のようにならなくて良いのではないでしょうか
家や街にまつわる豊かさとは何か、その本質をもっと深く考える時期が来ているのだろうと思います
2022/03/16
環境は変えられる—北欧旅からのヒント

北欧の郊外住宅では、木の板張りの外壁をよく見かけます
その色は様々で、赤、青、黄色、緑といった鮮やかなものが多いです
急傾斜な山が多い日本とは異なり北欧では地盤が硬いためか
街並みがなだらかに広がり、目立つ土木構造物がほとんど見当たりません
ノルウェーでホームステイした際
家主のラガハイドから教えてもらったことがあります
外壁の塗り替えは自分たちでするということでした
色を選ぶのは、雪に囲まれる季節も考慮に入れた結果です
また彼女の務める中学校では学年が変わるごとに、みんなで教室の色を選び、塗り替えるそうです。
色を変えることで環境にアクションを起こすという体験は、非常に貴重だと思います
自分たちの環境を自分たちでつくり上げる力を感じることができるのです
青い空や緑の木々はどこにでもあります。
日本にも豊かな色の文化がありますが
街中の外壁の色を見ていると、色の問題だけでなく、庭と家、さらには土木構造物の問題も見えてきます
素材の色を大切にしてきた日本人が作り出した今の街並みを考えると
これからどのように変わっていくべきかが問われる時期なのかもしれません
2022/03/08
イチョウ木とまち—公と私をつなぐ風景

サクラやイチョウの樹は、季節になると街に色をあたえてくれます
我が家のそばにも安川沿いにイチョウの大木が立っています
その樹は、私的な庭にあるものの
実際には街の一部として存在しています
もしその樹が伐られてしまったら
きっと私だけでなく、寂しさを感じる人がたくさんいることでしょう
家の外観も、実は私的なものでありながら、公的なものでもあります
街並みをつくるという点において、私たちの公への意識や考え方が希薄です
どのように公の視点をみんなで共有できるか
街づくりをするときにはルールとして考えないとです
2021/11/30
歩きたくなる道—車社会の中で見つけた散歩道

世の中にはたくさんの道があり、用途によって呼び方があります
参道、街道、散歩道など、様々な種類の道がありますが
今の車で通り過ぎるだけの道路とは何か違います
その違いは、速度かもしれません
歩く速度で、愛でられてきた道は、時間が経っても今も残り続けています
一方、利便性だけを追求してつくられた道の行く末はどうなるのでしょうか
毛細血管のように広がるアスファルトの道が
これからどのように保守され、点検されていくのでしょうか
先日、家の近くを歩いていると、素敵な道を見つけました。
人が楽しく歩くことを拒んでいるような街で、川沿いの道を歩きました
そこには「旧山陽道」の看板もあり、車でいつも見ていた桜の下の散歩道
新たな発見となりました
歩きたくなる街の部分を見つけながら、今後もこうした道を歩きたい
2021/05/10
人間は環境を変えれる動物です

先日改築の現場の一区切りがつきました
打合せの時から同席していた猫ちゃんの背中を見て思ったこと
人間は自分たちの住んでいる環境を
かえていく・かえてしまう力があるけど
他の動物たちは持ってないということ
私がいまでも建築の設計を続けているのは
ひとりでも多くの人に望む方向に環境を変える力があることを知ってほしいからかな
どんな小さなことでも思いを持って変えると
世界がすこしづつ変わっていきます
その体験として家づくりは最適な経験です
改築した家はこれからも施主さんの力でずーっと良い方向へ変わっていくでしょう
その土台を一緒につくるのが設計士の仕事のひとつです
2021/02/15
山と瀬戸内海と生活—ヒロシマの魅力

広島は被爆地『ヒロシマ』として世界的に知られています
旅行中に「ヒロシマから来た」と言えば
大体の人がその場所を知っています
次に広島はどんなところかと聞かれることが多いです
私は地理的な説明をすることが多いです
「山があり、海があり、川がまちを7本流れている」と
車でドライブすれば 1時間もかからず山にも海にも遊びに行ける
仕事をしながらでも、自然と密接に関わりながら生活できるのが広島の魅力です
特に空気の澄んだ晴れた日はその良さを一層感じます
広島で過ごす日々の中で、いつも大きな視点で街を感じ
その中での自分の暮らしをしっかりと見つめていきたいと思います
2021/02/12
景色になる街の未来像—自由と調和

美しい住環境の写真をみる度
この国にきれいな街並みは現れるのだろうかと考える
伴の事務所から安の実家に帰る途中
県道38号安川通りを通るたびに
これがアジアの先進国の風景なのだろうかと思ってしまいます
新しく建つ建物は、用途や素材がバラバラで
個人の自由と経済優先
センスのない不動産屋の影響が感じられます
そして、それらに従う設計士たち
日本中にある街の風景は、果たしてどこに向かっているのでしょうか
photo:フランス・バイヨンヌの街中風景
2020/10/13
用途地域—便利さと静けさのバランス

世の中が4連休になると、
事務所の前の道路の交通量が少なくなり
騒音、排ガス、タイヤの粉塵が消え
空気が澄んでいるように感じます
私が引っ越してきた場所は、実家のある第一種低層住居専用地域から
第一種住居地域に変わったため、便利さと引き換えのにぎやかさに、いまだになれません
あなたは、自分の住んでいる地域や会社のある場所の用途地域を知っていますか?
地図が好きな方はぜひ確認してみてください。
用途地域を知ることで、都市のつくりや、住む場所の特徴が少し理解できるかもしれません
2020/09/19
美しい墓地と、眠る場所について

ヨーロッパでもっとも美しいと言われる墓地
クロアチアの首都ザグレブにあるミロゴイ墓地
「墓地」というよりも、公園のように緑に包まれ、散策したくなるような場所です
ミロゴイとは「静かに眠れ」という意味
その名の通り、ここで眠る人々は穏やかな時を過ごしているように感じられます
旅の途中、さまざまな街で墓地を訪れることがありましたが
「ここで眠れるのは幸せだろうな」と思う場所にいくつも出会いました
日本では、そう思えるお墓はたいてい海に面した高い丘の上にあります
生きる場所を選ぶように、眠る場所もまた、人それぞれ
緑に包まれた墓地や、海を望む丘の上—
どんな場所なら、心安らかにいられるのか
そんなことを考えながら、静かに景色を眺めていました
2020/06/26
土地の価値とは価格だけなのか?

「土地の価値」という言葉を聞くと、まず経済的な指標を思い浮かべるかもしれません
畑を耕していると、別の価値が見えてきます
これまで先人たちが自然の堆肥を入れ、長い年月をかけて豊かにしてきた土地
その土の力や、受け継がれてきた知恵にこそ、本当の価値があると感じます
そうした土地の上に太陽光発電施設が並び
賃貸住宅が建てられていく現実もあります
それらはすべて節税対策なのでしょうか?
あるいは、現金収入の手段として選ばれたものなのでしょうか?
「豊かで美しい国の土地の有効活用」とは、一体何を指すのでしょう
都市計画の中で、経済合理性だけが優先されるのではなく
山や田畑、そして住宅地がどのように共存していくのか
そのデザインを考えることが、これからの私たちに求められているのではないでしょうか
2020/05/28
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