受け継ぐ建築

受け継ぐ建築|古江プロジェクト 05|住まいの環境を整える

古江プロジェクト 05

住まいの環境を考える

前回までに、2階の住まいの骨格が見えてきました。

ここからは、日々の暮らしの質を整えるための検討に進みます。

プランの大きな構成は変わりませんが、
設備や断熱、収納といった要素を重ねていくことで、
住まいとしてのあり方が少しずつ具体的になっていきます。


住宅設備を選ぶ

住宅設備の検討では、実際にショールームを見て回りながら進めました。

浴室については、入浴よりもシャワーの利用が中心というお話があり、
使った後の掃除のしやすさを優先して選定しています。

限られた広さの中での計画となるため、
設備としての機能だけでなく、
少し色で遊びを持たせる提案も行いました。


キッチンの計画

キッチンについては、
「天板を直接水を流して洗いたい」と要望がありました。

また、持ち物が少ないことから、
収納扉を設けるよりも掃除のしやすさを優先し、
開放的な構成としています。

そのため、ステンレスのフレームキッチンを
特注で製作することとしました。

キッチンの長さが大きくなるため、
メーカーとやりとりをしながら、
製作可能かどうかを確認していきます。


断熱性能を整える

今回の計画では、RCの躯体の中に木造の住まいをつくる構成となります。

内部に新たな空間をつくることで断熱の厚みは確保できますが、
RC躯体から伝わる熱の影響を抑えることが重要になります。

そのため、外壁面だけでなく、
RCの壁がある部分も含めて、
住まい全体を包むように断熱を施していきます。

開口部については、
樹脂サッシや木製のFIX窓を採用し、
トリプルガラスとすることで性能を確保します。

床・壁・天井を含めて全体の断熱性能を整え、
断熱等性能等級6を目標としています。

収納とものの量

今回の住まいでは、
すでに持ち物が整理されていることが印象的でした。

どこに何を置くのか、
その場所にきちんと収まるのか。

その一点を大切にしながら、収納の計画を進めています。

一般的に収納は多めに確保することが多いですが、
今回は入れるものが明確なため、
それに合わせた無理のない計画となっています。

収納は量ではなく、
暮らしとの関係の中で決まっていきます。


ランドリールームの計画

計画の初期から話に上がっていたランドリールームは、
LDKの一角に設けることとしました。

ガラスの建具でゆるやかに仕切りながら、
その向こう側に配置しています。

ランドリールームからは直接テラスに出ることができ、
洗う・干すという一連の動作が自然につながるように計画しました。

洗濯機と洗面台をまとめて配置し、
広いLDKの端に機能を集約しています。

毎日シーツを洗うという暮らしにも対応できるよう、
動線を整理していきました。


建物全体の補修と住まい

今回の計画では、2階の住まいだけでなく、
ビル全体の補修計画との関係の中で設計を進めています。

外装や防水など、建物全体の状態を整えながら、
その中で住まいがどのように見えるのかを考えていきます。

部分としてではなく、
建物全体の中で住まいを捉えることが大切になります。


基本設計のまとめ

ここまでが基本設計の段階となります。

住まいの骨格と環境の考え方を整理し、
これからの暮らしの方向性を共有してきました。

基本設計を終え、ここから実施設計へと進みます。

パースによる確認

今回の住まいは台形の形状となるため、
内部のイメージがつかみにくい部分がありました。

そのため、基本設計の終わりにパースを作成し、
空間の広がりや関係性を確認していきます。

図面で整理してきた内容を、
実際の空間として共有するための手がかりとなります。

 

 

住まいの環境は、日々の積み重ねの中でその質が見えてきます。

受け継ぐ建築|古江プロジェクト 04|2階の住まい

古江プロジェクト 04

住まいのかたちを考える

前回までに建物と敷地の状況を整理し、
既存建物の可能性を確認してきました。

今回の計画では、2階を住まいとして整えていきます。


1回目の打ち合わせ

最初の打ち合わせでは、
必要な部屋や暮らし方についてお話を伺い、
それをもとに6つのゾーニング案を作成しました。

ヒアリングでは寝室は北東側というお話がありましたが、
現地で感じた環境から、南東側に配置した案もあわせて提案しています。

また、2階は広さに余裕があるため、
一部を外部空間として開く提案も行いました。

洗濯がお好きだと伺っていたため、
十分に干せる場所を確保できるように考えています。

これらの案は、どれか一つに決めるためのものではなく、
暮らし方を共有するためのたたき台として用意したものです。

2回目の打ち合わせ

前回のゾーニングをもとに、
今回は住まいの中での動きを整理していきました。

  • LDKでの過ごし方
  • テラスや洗濯室への動線
  • 寝室とLDKの距離
  • トイレの位置

日常の生活をイメージしながら図面として配置していきます。

今回の計画はビルの2階部分のため、
玄関の位置は既存のまま固定されています。

その中で、どの方向に向かって住まいに入るのかによって、
空間の構成は大きく変わってきます。

外観のかたちも含めて調整しながら、
部屋の配置を変えた5つの案を作成し、比較検討を行いました。

案を通してイメージを共有する

それぞれの案の違いを説明しながら、
どの位置にどの部屋があるとよいのか、
暮らしのイメージをお聞きしていきます。

差異を理解することで、
その人に合った暮らしのかたちが見えてきます。

設計では、提案を通して対話を重ねることで、
その人が求めている暮らしが明確になっていきます。

方向性を定める

複数の案を検討した上で、
ひとつの案をベースとして進めていくことになりました。

その後の検討によってプランは少しずつ変わっていきますが、
住まいの骨格はこの段階で見えてきます。

住まいのかたちは、対話の中から少しずつ見えてきます。

受け継ぐ建築|古江プロジェクト 03|可能性の整理

古江プロジェクト 03

建物の可能性を整理する

既存建物を活かす計画では、
まず建物と敷地の状況を整理することから始まります。

周辺道路との関係や隣地との距離、
周辺環境を含めて確認していきます。

建物単体ではなく、
敷地との関係の中で理解することが大切になります。

建物の履歴を確認する

建物の建築時期や増築の有無を確認し、
当時の建築基準と現在の基準を照らし合わせながら
既存建物としてどのように活かせるのかを整理していきます。

既存建物の改修では、
この整理が設計の基礎になります。

建物の使い方を考える

次に、建物をどのように使っていくのかを整理していきます。

・どのくらいの期間使うのか
・将来どのような使い方ができるのか

既存建物は、今だけでなく
これからの可能性も含めて考えることが大切になります。

住まいをどこにつくるか

今回一番重要だったのは、
住まいをどの階に計画するのかという検討でした。

各階に住まいを想定した場合の可能性を検討し、
つくれる広さの違いを確認していきます。

生活に必要な用途や大きさ、
部屋同士のつながりを整理しながら
ゾーニングの検討を行いました。

さらに、各階に住まいを計画した場合の図面を作成し、
生活のイメージを共有しながら検討を進めました。

設計では、可能性を言葉だけでなく
図面として共有することが重要になります。

現時点での方向性

打ち合わせを重ねた結果、

1階は駐車場
2階を住居
3階は環境の良さを活かし用途を検討

という方向性となりました。

既存建物を活かす設計では、
このように段階的に可能性を整理しながら
方向性を見つけていきます。

受け継ぐ建築|古江プロジェクト 02|建物を知る

古江プロジェクト 02

建物を現地確認

建築カウンセリングの後、
既存建物を活かす方向となったため、
現地で建物の確認を行いました。

まずは外観から建物の状態を確認し、
続いて内部の状況を見ていきます。

今回は設備と外装をフルリノベーションする計画のため、
主に確認するのは躯体の状態と防水の状態になります。

既存建物を活かす場合、
設備や仕上げよりもまず
建物そのものが使える状態かどうかを確認することが重要になります。

建物が使えるということ

既存建物が利用できるかどうかは、
単純に古いか新しいかでは判断できません。

構造の状態、劣化の程度、
そしてこれから想定している使い方が可能かどうか。

それらを総合的に確認しながら、
この建物がこれからの住まいとして活かせるかを検討していきます。

設計では、形を考える前に
まず状況を理解することが大切になります。

設計依頼へ

建物の確認の後、
レフトハンズの設計の進め方について説明しました。

設計の流れや考え方、
概算の設計料などをお伝えし、
その上で設計依頼をお受けすることになりました。

設計は図面を描くことから始まるのではなく、
建物と暮らしの可能性を共有するところから始まります。

受け継ぐ建築|古江プロジェクト 01|はじまり

古江プロジェクト 01

この計画は
建築カウンセリングから始まりました

RC3階建てのビルが建つ土地を受け継がれ
この建物と土地をどのように活かしていくのがよいのか
相談をいただいたことがきっかけです

最初は建物を取り壊して
木造の平屋に建て替える計画とお聞きしましたが
家に対して求めていることをお聞きするうちに
既存建物の2階を土地として
木造の平屋を建てれば良いと提案させていただきました

そこから建て替えるのではなく
まず既存建物の可能性を整理することに

設計では形を考える前に
状況を理解することが大切になります

         

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