CLT構造見学会に参加して 岡山
中規模の建築を考えるときはいろんな構造の選択肢があります
その中でもCLT(直交集成板)構造に出会ったことが無かったので
岡山市と真庭市が主催する「CLTセミナー・構造見学会」に参加してきました

実際見学したのは岡山市にあるセリオ株式会社様の社屋
建物は準防火地域に建っている2階建ての木造建物で面積は約2000平米です
木材は、岡山県産の森林認証材が使われています
この取り組みは、森林を再造林することを目指すモデルとされています
素晴らしい見学の機会を提供していただき感謝しています

CLTとは?
CLTは「Cross Laminated Timber」の略で、直交集成板という木材を重ねて接着した建材です
CLTについては、日本CLT協会のホームページでさらに詳しい情報を確認することができます
岡山県産材を使った循環型の木材利用
今回見学した建物で使われている木材は、岡山県で育った森林認証材です
森林認証材とは、持続可能な方法で管理された森から取れる木材のことです
この木材を使うことで、木を使用した後も森林の再生が進んでいき、環境にも配慮した取り組みが行われています
この取り組みは林野庁のホームページに説明されている日本の現状を真摯に考えている取り組みです

以下林野庁のホームページからの日本の森林の現状です
日本は国土の約3分の2を森林が占める、世界でも有数の森林国。その森林の約4割は人が木を植えて育てた人工林です。現在、戦後に造林された多くの人工林が本格的な利用期を迎えており、資源量は年々増加していますが、木材の利用は十分に進んでいないのが現状です
木材を使うことは、「伐って、使って、植えて、育てる」という人工林のサイクルの一部。二酸化炭素(CO2)の吸収や国土を災害から守るといった森林の持つ多くの働きを発揮させるためにも、木材を使って森を育てることは大切なことです。人工林を伐って使うとともに、植えて育てることを進めていくことで、未来につながる森林の持続的なサイクルが保たれるのです
政府の木材利用を進める取り組み
木材の利用を促進するために、国もいろいろな取り組みをしています
2010年には「公共建築物等木材利用促進法」が作られ、住宅だけでなく、公共の建物にも木材を使うことが推進されました。そして、2021年には「脱炭素社会を実現するための木材利用に関する法律」が作られ、民間の建物や都市部でも木造建築が増えるようになりました
また、この秋には設計者向けに「中大規模木造の設計入門」という講座も開かれており私もその講座を受けて学びました。

木材の耐火性について
「木は燃えやすい」と考える人が多いと思いますが、実際には木材は上手に使えば耐火性が高いことがわかっています。たとえば、木材は1分で1mm、10分で1cmが燃えると言われています。つまり、火災時に必要な耐火時間を確保するために、木材を適切な大きさで使えば、十分に耐えられるということです。
鉄骨やRC(鉄筋コンクリート)の建物でも、求められる耐火時間は3時間程度です。現在では、燃えにくい木材が作られており、高層の木造建築も実現されています。
木は鉄よりも熱を伝えにくいため、木製の壁の向こうで火事が起きても、その熱が伝わりにくいというメリットがあります。つまり、木は重くて厚いほど燃えにくく、安全性が高いとセミナーで教えていただきました

CLT構造の特徴
CLTの構造体はコンクリートの壁式構造に似ていて非常にわかりやすいと感じました
床板や基礎が金物でしっかり接合されており、強度がしっかりと確保されています。
住宅と比べると金物の大きさに驚くかもしれませんが、この規模の建物には十分な強さが必要であり、適切なサイズだと思いました。
CLTを内装に使うことについて
CLTの素材をそのまま内装に見せるかどうかという点については
私は個人的にCLそのまま内装として使うことにあまり賛成できません
というのも、接着剤で貼られた木の継ぎ目がとても気になってしまいます
それも気ににならない倉庫のような大きな空間での使用や他の材料との取り合いで見せ方の工夫が必要だと思います
見学を終えての感想
工場でパネルをつくるので工期の短縮や
RC建物などより軽量という点は大きなメリットだと感じます
木材の使用量が多くなるのも環境的にはよい循環を生みそうです
CLT構造は木造のようなRC造のような
木造を設計したことのない設計者にも設計しやすい構造体だと思いました
木造構造体への外壁や内装は容易に取付加工できることも
意匠的な可能性が広がっていると感じました
街に木造の建物が増やすという点においてCLTの活用がすすむことを願います