効率と調和で考える、家づくりと職人の役割

家づくりを考えるとき、大切な視点の一つに「分業の力」があります。
たとえば、ちょっとした仕事でも二人で手を分ければ効率が上がりますよね
これは、建築の現場でも同じことが言えます
日本の昔の家では、大工さんが家全体を手掛けるだけでなく、建具も自分で作っていました
それが時を経る中で、建具職人という専門家が現れ、さらに今では工場で生産された建具を使うことが一般的になりました。効率や品質の向上という観点では、分業の進化は素晴らしい成果をもたらしています
しかし、ここで見逃してはならないことがあります
全体の中で、そのひとつひとつの部材や要素がどのように役立っているのか、という視点です
効率を追求するあまり、全体のバランスを考える力を失ってしまうことは避けなければなりません
設計者としては、家全体の空間を見渡し、監理することが仕事です
その中で、全体を理解し、考える力を持った職人さんとともに作業を進めることは、大きな喜びであり、良い家づくりに欠かせない要素です
家づくりは「パーツの組み合わせ」ではありません
設計者、職人、そして住む人が一体となり、家という空間を調和させるプロセスなのです