設計士の頭のなか|ことばと線のあいだで考える
最近、毎日図面を書いています。
その時間のなかで、
あらためて気づいたことがあります。
設計士の頭のなかでは、
いくつもの言語が行き来しています。
人の話すことばで考えているときと、
空間として感じているとき。
そしてその多くの時間は、
図面という「線の言語」に向かっています。
一本の線は、
壁であり、柱であり、距離です。
そこに寸法や強度、
人の動きや光の入り方を重ねながら、
空間を組み立てていきます。
関係を描くために、図面にする。
それは、つくる前にととのえる行為です。
人と人、
内と外、
光と時間。
見えない関係を、
線として結び直していきます。
ことばで受け取ったものを、
そのまま形にすることはできません。
一度、頭のなかで空間に変わり、
さらに線へと置き換えられていきます。
設計という仕事は、
観じることからはじまります。
こころ・あたま・からだをつかって、
空間を受け取り、考えていきます。
けれど実際の業務は、
図面に向かう時間の方が長く、
静かに、
線で考え続ける時間の積み重ねです。
そして現場では、
その線が素材へと変わります。
木の手ざわりや、光の反射。
図面の中にあった空間が、
現実の質感として立ち上がります。
ことばと空間、
線と素材のあいだを行き来しながら、
まだみぬかたちを、
つくりだしていきます。