市谷の杜 本と活字館 |文字と印刷の魅力に再会
街に生まれた杜のような空間
「市谷の杜 本と活字館」は
かつて印刷所の工場の一部として使われていた建物を修復・復元したものだと知りました
全体の整備計画の中で、建物を曳家して残し、周囲には現在の社屋と緑豊かな公園が広がっています
東京の街の中心にありながら、時間がゆるやかに流れる杜のような空間を演出していて、訪れるだけで心地よさを感じる場所でした
デザインに触れる喜び
館内は1階には印刷の過程が2階にはポスターや冊子が展示されてました
このポスターのデザインを見るだけで、胸が高鳴りました
印刷物の色彩やフォントの組み合わせには、ただの情報伝達を超えた「美しさ」が宿っています
紙にのせられた活字のリズム、レイアウトの呼吸感
眺めていると自然に創作意欲が刺激され
文字や図案が持つ力の大きさを改めて思い知らされました
特別展示で印刷のプロセス
今回の特別展示は、フランスで活動するギャビー・バザンの紹介でした
彼女が『Le Typographe』で取り組んだ絵本は
印刷のしくみや楽しさを子どもたちに伝えるためのもの
展示では、原稿から印刷、そして製本されるまでのプロセスが丁寧に解説されていました
本という完成品だけでなく、工程の一つひとつを間近で見ることができたのは特別な体験でした
工場やモノづくりの現場を見学することが好きな自分にとって、この展示は最高の作品でした
文字を書くことから始まったデザイン
展示を見ながら、ふと子どもの頃の記憶がよみがえりました
硬筆教室でひらがなを書き続けた日々
英語の授業で筆記体に夢中になった時間
文字を書くという行為そのものが
私にとってデザインの原点だったのだと気づきました
線の太さや文字の形、そして余白をどう扱うか
小さな工夫の積み重ねが「美しい字」を生み出し、そこにはすでにデザインの芽が潜んでいたのです
余白が教えてくれること
展示を見学していたとき
隣にいた女性の一言で「印刷物の余白」について改めて意識させられました
文字を美しく書くときに余白を考えるように
印刷の世界にも余白のデザインが存在します
その瞬間、私自身の歩みが一本の線でつながったように感じました
文字を書くことから始まり、印刷や活字の世界へと広がっていった道
その延長線上に、今の自分の仕事や表現があるのだと気づかされたのです