建築確認と検査済証の重要性を理解しよう

市街地で新築の建物を建てるときや、改装を行うとき
建築確認申請が必要だということをご存知でしょうか?
建築主(施主)は、役所や指定確認検査機関にこの申請を提出しなければならない決まりになっています
そして私たち建築士は、この申請の代行(代願)を行う立場にあります
ただし、建築確認申請を提出するだけで終わりではありません
その申請内容通りに建物が建てられているかどうか、最終的に検査済証を取得する必要があります
この検査済証がなければ、その建物は違法建築物と見なされる可能性があるのです
たとえば、私の実家を改装したときのことを振り返ると
建築確認済証は発行されていましたが検査済証は取得されていませんでした
当時の流れなのか、施工を請け負った会社である太平住宅さんが審査を受けていなかったのです
しかし問題はこれが施主にしっかり説明されていなかったこと
「なぜ検査済証がないのか?」という疑問が、当時は提起されることもありませんでした

この問題は一昔前には頻繁に見られた状況でした
特に、昭和25年に建築基準法が制定されて以降、検査済証の取得は義務付けられていましたが
工務店や建築士が施主からの特別な要求がない場合、これを曖昧に処理してしまうケースが散見されました
その背景には手続きが面倒であったり、費用がかかったりすることが要因として挙げられます
私が事務所を構えて25年以上経ちますが
これまでの経験の中で、検査済証を取得しなかった建物が一軒だけありました
それは工務店からの依頼で設計を担当したものでした
今振り返ると、どのような事情であれ、施主に対して説明を尽くすべきだったと思います
現在では、すべての建物で検査済証を確実に取得するようにしています
しかし、これからの課題は空き家の利用です
日本には検査済証がない古い建物がまだ多く残っています
これらの建物をリノベーションや改修する際、検査済証がない場合にどう対応するべきか、今後さらに議論が必要でしょう
特に、建築基準法の改正や新しい法整備が進む中で、施主がトラブルに巻き込まれないよう、私たち設計事務所も施主に寄り添いながら適切な提案をしていかなければなりません
家や建築を考えるとき、デザインや間取りだけでなく、法的な基準や手続きについてもぜひ関心を持っていただきたいと思います
建築確認申請や検査済証の重要性を知ることで、安心して暮らせる家づくりができるはずです