木材アドバイザー養成講座に参加して

山とまちを木でつなぐ人になろうと
木材アドバイザーの養成講座を受けに大阪へ
2日間で90分の6講座と試験が2つ
どの講座も講師の方のお話が実に面白く
しっかり学ぶことができました
山から木材までを皆様に知っていただく活動ができればと思います
私は川下の設計士としてこの講座を受けていますが
川上の林業・材木屋などの他業種の方も受講されていました
各講座から印象に残ったフレーズを少しずつご紹介します
(今回は川下側の建築分野の二講座をのぞきます)

地球環境保全と森林・木材利用
地球という環境のなかで
森林生態系の構造をどうとらえるかのお話のはじめに
生態学的視点の説明をされた時の例文です
『風が吹けば桶屋が儲かる』に込められている思想について
1.大風で土ぼこりが立つ
2.土ぼこりが目に入って盲人が増える (環境から生物への作用)
3.盲人は三味線を買う (人間活動)
4.三味線に使う猫皮が必要になりネコが殺される(生物から生物への作用)
5.ネコが減ればネズミが増える
6.ネズミが桶をかじる
7.桶の需要が増え桶屋が儲かる
8.桶に使う木材の伐採が進む
9.森林生態系が劣化し動植物に影響が及ぶ(生物と環境の相互作用)
この内容を聞いて生態学視点をひとつも持たずに生きてきたことに気づきました
人間社会のことばかり考えていたなと
さらに森の生態系考える時に
必要な視点として次のことを教えていただきました
視点1|トレードオフ
物質生産と生物多様性のについて
どのようなサービスをどのくらいの量提供してくれるか
⇒同齢単純林の方が生産性が高いが生物多様性はおとるとか
視点2|時間スパン
人間・農作物・森林生態系の時間サイクルのちがい
視点3|空間サイズ
動物の行動範囲
森林の成り立つ広さ(気候等によって変化)
視点4|人との関係(相互作用)
何か地球で事業をおこなう時 作用しあう範囲・時間・空間まで考えていくこと
建築内部では考えていたことを森の中で
人間だけでなく他の動物のことまで考えていかないといけないと知りました

森林と人の関り 日本の林業とその課題
日本人が昔から森や木といかに身近にくらしてきたかを
いろんな木の文化の話を伺いながら教えていただきました
漆・ショウノウ・経木・カスタネット・割りばしなど
いまはなくなりつつある技術についてもお話されました
時間が必要な作業
気遣いの上になりたつ作業
これらは今も他国よりは日本人が得意とするところではないでしょうか
『日本書記』にもスサノオノミコトの言葉の中に
樹木ごとにどこに使うかのお話があるようです(適材適所)
森林国の林業が木材生産だけをあらわす言葉でなく
多様な森のめぐみを活かすような業として未来へ向かっていけばいいなと思います
講師の森への愛が止まらず
「森が好きな人率を高めよう」の言葉に大賛成です
写真は以前私がお皿として購入していた経木です
今はノートとしての売っておられるようでした

木材の構造と性質 ルーペによる木材の観察
森に立っている木は葉っぱや樹皮で何の木かわかりますが
木材になった時・時間経過しても樹種を見分けられることを教えていただきました
まずは樹木の基本構造のつくりを教わり
ルーペで木をじっくり見る時間
針葉樹と広葉樹の見わけ方など
図面に樹種や必要強さや乾燥度合いを書きこみますが
ミクロの世界のことを想像したことがありませんでした
ルーペでのぞくことのが癖になりそうです

日本の木材流通は何が問題なのか?その解決策は?
私はずっともっと自由に木が買えるようにならないかなと思っています
全世界から木材製品が届く時代なのに国産木材に関しては進んでいないような
木にこだわったらどこに買いに行けば良いのだろうと
流通にはいつもはてながついたままでした
既存の木材の流通では
山⇒原木市場または素材生産者⇒製材工場⇒木材卸売り業者⇒工務店でした
基本は原木市場で「現物熟覧」を行うことでしたが
製材が製品に近づくにつれて市場は必要性を失ってきているようです
また木材の流通では分別を行っているようです
A材 直材で建築用材・家具材となるもの
B材 小曲材で土木用材など
C材 大曲材で集成材・合板用材
D材 伐採・造材に発生する端材
A材だけをつくっていた時代と変わり
B材・C材が主な製品であるようでした
山から木を伐り出して
木のすべてがつかえるように川上から川下までの流れを設計し
物とお金の情報を共有して新しい流通の仕組みをつくっている例を教えていただきました
ただ個人が工務店に依頼して家をつくる時
最適解がまだ頭に浮かんできませんが
これからはいろんな流通の仕組みがあって良いことがわかりました