和のデザイン:己斐の家

家のあちこちに
和のデザインを残したままのリノベーション
〇2階窓の手すり

〇丸窓と竹細工

〇欄間の開口部と桜の竿縁

〇縁側木製建具

〇床の間に金の襖
家のあちこちに
和のデザインを残したままのリノベーション
〇2階窓の手すり
〇丸窓と竹細工
〇欄間の開口部と桜の竿縁
〇縁側木製建具
〇床の間に金の襖
ここから50年
メンテナンス等を考えた時
工業製品は品番がなくなることが多いので
杉の木の外壁を選びました
建物の要素がとても多いので
外壁の色は一色に
屋根から2mくらいのラインで
雨がかかることが多くなる部分は
押え縁で貼りました
杉本来の色も見える
きれいな塗装面となりました
退色していくことも自然に見えるように
一部洋風の外壁は
そのままの意匠をのこして
屋根のかけ方を変えました
長く家を囲っていた
足場が撤去されました
外構ブロックも撤去され
家の形がよく見える一瞬
工事前の外観
工事進行中
手前に駐車場が出来上がります
工事前の外観
工事進行中
階段工事が終了しました
既存住宅の階段は急勾配でしたので
全改装にあわせて
位置を含めかけ替えました
既存住宅の骨組み間取りの
良い場所を残しながら
今これからの生活に合わせるため
階段を計画することは重要です
解体工事をしてみると
書院の部分に柱が入ってないことが
建物のゆがみを大きくさせているようでした
壁で建物を補強して
客間の意匠を残しながら
奥のDKまで光が入るように
いよいよ建具工事が始まります
外壁の左官下地工事
既存の軒裏のデザインをいかして
テラスとして使っていた部分に
屋根をかけました
和室の壁の改装
何度も塗り重ねられた仕上げ
これは綿壁部分をクレイパーではぎ取ったもの
きれいに仕上げるには
下地処理は欠かせません
図面で表す時の壁は直線ですが
改装の時の柱がまっすぐ立っていることは
ほぼありません
内部も外部の壁も柱が見える
真壁のままの改装では問題になりませんが
柱を隠してしまう大壁の場合は
ゆがみを下地で直していくことになります
台形にして取り付けられた下地
柱の上下で傾いています
外壁部分は
長い横材をあてると
壁の引っ込み部分があるのがわかります
下地の胴縁にさらに下地を
新築の家では当たり前の垂直と水平
大工さんに改装工事の間中
この垂直・水平問題に取り組んでいただくことになります
外壁の仕上げは杉板塗装仕上げ
大工さんの倉庫に板が搬入されました
現場でお施主さんと決めた色に
先行塗装されていきます
現場では
外壁全体に張った合板の上に
タイベックシートを貼り
通気胴縁を施工して
板を貼る下準備ができました
現場監督さんが
板のとめ方について大工さんと打ち合わせしたサンプルが壁に
後々のメンテナンス等を考えてビスで施工することに
ここ何週間か現場に通う度に
現場監督と大工さんから家のゆがみについて
話を聞いていました
本日お施主様から
原爆にあった後の建物の話を聞きました
窓ガラスが割れて床柱に刺さっていたと
爆心地から4キロ離れた位置でも建物に風圧の影響があったようです
建物のゆがみもその時のものなのでしょうか
柱梁の構造体による和風建築を
壁をつくり
揺れをすくなくしていきます
縁側部分も一部壁に
2階の回廊部分も一部壁に
全てばらして構造計算して耐震補強とは
なかなかできませんが
大工さんが直感的に組んだ構造体を活かしながら
これから50年住める構造体を構築していきます
2階の床は合板にて水平剛性を出せるように
この三角形は何の掘り込みでしょう?
長押を鴨居などに止める釘のための
釘彫というものです
今回初めて目にしました
引き戸の上レールの部分
鴨居の上の
断面台形の部材が長押です
この台形の形を長押挽きというそうです
今回の改装で
8畳の和室を6畳にするので
写真の位置の鴨居を半間前にずらします
意匠材は再利用
天井まわりの竿縁
鴨居などを利用します
天井部分は六畳仕様に移動されていました
あとは加工して長押をつけるだけ
現場にサッシが搬入されました
西側立面の道路に面した窓の位置だし
現場で大工さんに仮に取り付けてもらい
お施主さんと確認しました
改築を始める前には
引き違いのアルミサッシが4セットついていました
さらにその前は
木製の上げ下げ窓だったと想像しております
一部洋館のような雰囲気を持つ場所です
今回は少し開口面積を狭めて
壁をくぼませて
面落ちのデザインをすることに
開口部の建具は
昔はすべて木製でした
昭和の時代にアルミサッシにとりかわり
その後断熱サッシとして樹脂サッシが
樹脂サッシはどれくらいの寿命なのでしょう
今回の工事は
一部既存の木製建具を残して
その他はアルミサッシに
ガラスは熱線反射ガラスに
今のオーナーさんのお父様が
戦後購入されたこの家
築年数はいまだ不明です
戦前の頃の木造住宅と言えば
大工さんが間取りも
木組みも決めたことでしょう
間取りを優先したのでしょうか
2階が乗っている部分の角(写真白線部)に
柱が1階部分にない場所が2か所
現場監督さんと
いろんな考えで大工さんの考えを推理します
年月によるものか
最初からなのか
柱がないことによる傾きが構造体に出ています
柱等で補強していきます
元は伝統工法の柔構造の家を
骨組みを利用して
あらたに剛構造の家としていきます
基礎を設けていないので
地盤の上に
強い箱がのっている状態です
既存壁に
気密状態と構造補強のため合板を貼ります
一部間取りの変更も行うため
弱い部分には
梁の補強をしていきます
化粧で見える軒の修復を終えて
既存の下地板と垂木を残した部分に
新たな屋根の下地板の合板を取付
ここまでは大工工事
合板の上にルーフィングを引いて
いよいよ瓦を運び込みます
瓦を運ぶ素敵な足場が登場しました
瓦のデザインも
屋根のデザインも少しスッキリした表情になりそうです
家の一部を減築するので
屋根の形が変わります
取り合いの屋根の形成工事と
軒の修復工事が進んでいます
縁側に面する部分
2階の廊下に面する部分の軒は
2重に垂木がかけてあります
お化粧軒裏です
取り合い工事をしながら
大工さんが修復をしてくださいました
化粧の軒のきれいなこと
木のリズムを感じることができる場所
他の部分を化粧板が抜けてる部分は
補修をしていただいてます
屋根の素材及び仕上げは設計時に決定済み
二階建てのボリュームのある壁が
ほぼ杉板仕上げなので
その重要な要素である
杉板の塗装の色を本日決定
写真の外壁の色と
写真の外壁の色をまぜた感じの色にすることに
庇がある部分から2mは
雨水がかかりにくいので
羽目板張りですが
2階建てで雨水がかかりやすい部分は
写真のような押縁の仕上げになります
塗装は塗り重ねていくので
最初に暗くしてしまうと
あとから明るくすることはできません
ではどこまでの明るさにしておくか
家の前を通る小学生が
木だけど
以前と違うなと思ってくれるといいな
お施主さん
現場監督さんとともに
決めた色で仕上がる外壁を楽しみにしています
解体工事が終了すると
屋根を新しく葺きかえる
上の工事とともに
足元の工事がはじまります
戦前の建物とお伺いしているのですが
床下は
土台がのっている縁石部分はそのまま水平に保たれ
内部は下がってしまったのでしょう
設計時に調査した時も思ったのですが
十分な床下高さがあるからなのか
湿気もなくシロアリ被害もありませんでした
建物の耐用年数や
工事の予算配分から
今回の工事は
防湿コンクリートや基礎工事は行いません
構造的に力がかかる部分は転圧して
ブロック・束石を施工して
その他の部分は砂利敷きに
防湿シートも敷きません
水が入っても抜けていくように
大工さんが見つけて教えていただいたのですが
土台どうしのつ継ぎ手に
割楔締めがされていて
これは絶対抜けないそうです
釘も使わない
木の特性を利用した継ぎ手です
既存の柱・梁・土壁を残した
改築工事を進めています
客間は床組みからなおしますが
天井は既存を使う予定
開放的な空間
縁側や2階の廊下を残しながら
構造的に補強していきます
解体工事が終了して
構造体がすべて見える状態になったので
計画通りの補強でよいかを
現場監督さんと大工さんと
設計者で確認していきます
ときには柱はあるけれど
ほぞ穴等で弱弱しい部分もあるので
大工さんに教えていただきながら
確認作業を進めます
天井裏の小屋組みはすべて丸太
隠れてしまうところですが
丁寧に施工されていました
最初の家の形を思い浮かべることができる場所も
今はユニットバスが入ってますが
土間からお風呂に入る扉跡が出現
土工事への続きます
ここから50年を考える時
屋根の吹き替え工事は必要です
瓦の耐用年数は
メンテナンスしながら約50~60年くらい
瓦の様子と軒先に土が見えていたことから
土葺き工法の瓦屋根だと思われていましたが
平屋部分の瓦を撤去してみると
以前の改修で土を撤去して
瓦桟工法に変更されていました
防水のためのルーフィングがない時代は
土と
野地板の上に杉の皮で
雨水を受け止めたのでしょう
軒先に残る土の部分に
瓦の裏の模様が転写されていたので
解体されたものを一つとって裏返してみると
右から書かれた
菊間瓦産業組合の文字でした
菊間瓦は広島城にも利用されていたようです
生活道路に面した
外部ブロック塀を一部撤去することから
解体工事が始まりました
車の交通量も多いし通学路なので
ガードマンを要しての工事となります
つづいて行われる
建物の解体工事の準備として
ガスを切り離し
キッチン・洗面台・便器などの住設を給水から切り離します
既存住宅で使われていた
障子などの木製建具は
改築後も補修して使う予定です
現場で保管ができる場所が確保できないので
建具屋さんが取り外しされて保管されます
今回の解体工事は2段階にわけて
まずは解体専門業者
ブロック塀・屋根(屋根下に土)及び減築部分などの解体
次に木に関わる部分は大工さん
柱・梁などの構造体
長押などの造作材など
再利用できるように取り外していただきます
その前に現場監督が
壊す部分と残す部分の支持のテープ貼りと養生をされています
欄間(ランマ)建具も取り外して保管
通風のために開け閉めができるようになっています
(一部は造作材の変形により取り外し不可でしたが)
扇の形などの塗回しの開口部が現れました
採光・通気という機能に
意匠性を持たせた明り欄間
現在の建物の物差しである
断熱・気密に当てはめると
必要のないものですが
職人さんが家つくりを楽しんでいた時代の空気を
ここから50年も楽しんでいけるものにしように
改築していければと思います
己斐の街中にある
寄棟つくりの屋根
漆喰と木板の外壁
玄関あがったところにある
取次という畳のスペース
お客様が迎え入れる時
座ってお迎えすると
お客様を見下さないようにできています
南西に開いた縁側のある1階客間
年明けから工事が始動しました
引越しを終えられて
工事準備がはじまる前に
写真撮影をさせていただきました
ものがきれいになくなると
本来の空間の姿がよく見えてきます
これまでのここでの生活に思いをはせ
ここからの50年を支える家をつくり始めます
工事前にきれいにお掃除された空間を見て
現場監督と気を引き締めました
また設計時に伺った時に
撮影した写真を思い出しました
本日伺った時には掃除道具はありませんでしたが
階段の上り口に置かれた
ほうき
はたき
布団たたきなど
これまで住まい手がどのように暮らしてきたのかを
想像できる大好きな写真です