ここから50年

己斐の家|リノベーション|戦前の住宅(減築と耐震)

己斐の家|リノベーション|戦前の住宅(減築と耐震)

改築前

改築後
1945年以前に建設された家のここから50年を考えて
できるだけメンテナンスする場所が減るように
減築し・腰庇を取り払い
外壁を大壁にすることにより耐震補強しました

己斐の家|リノベーション|戦前の住宅(減築と耐震)

改築後

改築前
2階回廊部分の大開口を
一部開口を残しながら壁にて補強
2階床の構造を組み換え水平剛性も

己斐の家|リノベーション|戦前の住宅(減築と耐震)

改築後

改築前
1階縁側部分にも視線を遮るとともに
土台部分から壁にて補強

己斐の家|リノベーション|戦前の住宅(間取りの変更)

己斐の家|リノベーション|戦前の住宅(間取りの変更)

既存書院部分に柱があると家の傾きは
もう少し少なかったかもしれません
柱補強することと同時に
床の間の後ろの空間まで光が入るように
間取りを変更

己斐の家|リノベーション|戦前の住宅(間取りの変更)

床の間の移設をして
常時開閉できる建具を設置することに

己斐の家|リノベーション|戦前の住宅(間取りの変更)

食堂部分から居間になる和室を見る

己斐の家|リノベーション|戦前の住宅(間取りの変更)

既存階段は急勾配
2階を有効に使うために
階段の架け替え

己斐の家|リノベーション|戦前の住宅(間取りの変更)

1階の一番暗かった部分が明るくなり

2階の階段室を通して洋室にも光を

己斐の家|リノベーション|戦前の住宅(引き継ぐデザイン)

己斐の家|リノベーション|戦前の住宅(引き継ぐデザイン)

■取次の間と丸窓と竹細工

己斐の家|リノベーション|戦前の住宅(引き継ぐデザイン)

■縁側の木製建具と欄間

己斐の家|リノベーション|戦前の住宅(引き継ぐデザイン)

■和室の天井竿縁と落とし掛けと金襖

己斐の家|リノベーション|戦前の住宅(引き継ぐデザイン)

■2階回廊と木製手すり

己斐の家|リノベーション|戦前の住宅(引き継ぐデザイン)

既存住宅にあるデザインを
そのまま利用して
これからの50年を

己斐の家|リノベーション|戦前の住宅(ずっとある素材)

己斐の家|リノベーション|戦前の住宅(ずっとある素材)

瓦葺きの寄棟
瓦は既存住宅より軽いものを

己斐の家|リノベーション|戦前の住宅(ずっとある素材)

壁は木製
杉板を利用
工業製品よりは長く補修可能だと思います

己斐の家|リノベーション|戦前の住宅(ずっとある素材)

玄関ドアも木製建具
修理・変更可能です

これからの50年に向けて工事開始:己斐の家01

これからの50年に向けて工事開始:己斐の家01

己斐の街中にある
寄棟つくりの屋根
漆喰と木板の外壁

これからの50年に向けて工事開始:己斐の家01

玄関あがったところにある
取次という畳のスペース
お客様が迎え入れる時
座ってお迎えすると
お客様を見下さないようにできています

これからの50年に向けて工事開始:己斐の家01

南西に開いた縁側のある1階客間

これからの50年に向けて工事開始:己斐の家01

年明けから工事が始動しました
引越しを終えられて
工事準備がはじまる前に
写真撮影をさせていただきました
ものがきれいになくなると
本来の空間の姿がよく見えてきます
これまでのここでの生活に思いをはせ
ここからの50年を支える家をつくり始めます
工事前にきれいにお掃除された空間を見て
現場監督と気を引き締めました

これからの50年に向けて工事開始:己斐の家01

また設計時に伺った時に
撮影した写真を思い出しました
本日伺った時には掃除道具はありませんでしたが
階段の上り口に置かれた
ほうき
はたき
布団たたきなど
これまで住まい手がどのように暮らしてきたのかを
想像できる大好きな写真です

2段階の解体開始:己斐の家02

2段階の解体開始:己斐の家02

生活道路に面した
外部ブロック塀を一部撤去することから
解体工事が始まりました
車の交通量も多いし通学路なので
ガードマンを要しての工事となります
つづいて行われる
建物の解体工事の準備として
ガスを切り離し
キッチン・洗面台・便器などの住設を給水から切り離します

2段階の解体開始:己斐の家02

既存住宅で使われていた
障子などの木製建具は
改築後も補修して使う予定です
現場で保管ができる場所が確保できないので
建具屋さんが取り外しされて保管されます

2段階の解体開始:己斐の家02

今回の解体工事は2段階にわけて
まずは解体専門業者
ブロック塀・屋根(屋根下に土)及び減築部分などの解体

次に木に関わる部分は大工さん
柱・梁などの構造体
長押などの造作材など
再利用できるように取り外していただきます

その前に現場監督が
壊す部分と残す部分の支持のテープ貼りと養生をされています

2段階の解体開始:己斐の家02

欄間(ランマ)建具も取り外して保管
通風のために開け閉めができるようになっています
(一部は造作材の変形により取り外し不可でしたが)
扇の形などの塗回しの開口部が現れました

2段階の解体開始:己斐の家02

採光・通気という機能に
意匠性を持たせた明り欄間
現在の建物の物差しである
断熱・気密に当てはめると
必要のないものですが
職人さんが家つくりを楽しんでいた時代の空気を
ここから50年も楽しんでいけるものにしように
改築していければと思います

屋根の吹き替え 瓦の撤去:己斐の家03

屋根の吹き替え 瓦の撤去:己斐の家03

ここから50年を考える時

屋根の吹き替え工事は必要です

瓦の耐用年数は

メンテナンスしながら約50~60年くらい

 

 

屋根の吹き替え 瓦の撤去:己斐の家03

瓦の様子と軒先に土が見えていたことから

土葺き工法の瓦屋根だと思われていましたが

平屋部分の瓦を撤去してみると

以前の改修で土を撤去して

瓦桟工法に変更されていました

防水のためのルーフィングがない時代は

土と

野地板の上に杉の皮で

雨水を受け止めたのでしょう

屋根の吹き替え 瓦の撤去:己斐の家03

軒先に残る土の部分に

瓦の裏の模様が転写されていたので

解体されたものを一つとって裏返してみると

右から書かれた

菊間瓦産業組合の文字でした

菊間瓦は広島城にも利用されていたようです

解体して見えてくるもの:己斐の家04

解体して見えてくるもの:己斐の家04

既存の柱・梁・土壁を残した
改築工事を進めています

客間は床組みからなおしますが
天井は既存を使う予定

解体して見えてくるもの:己斐の家04

開放的な空間
縁側や2階の廊下を残しながら
構造的に補強していきます

解体して見えてくるもの:己斐の家04

解体工事が終了して
構造体がすべて見える状態になったので
計画通りの補強でよいかを
現場監督さんと大工さんと
設計者で確認していきます

ときには柱はあるけれど
ほぞ穴等で弱弱しい部分もあるので
大工さんに教えていただきながら
確認作業を進めます

解体して見えてくるもの:己斐の家04

天井裏の小屋組みはすべて丸太
隠れてしまうところですが
丁寧に施工されていました

解体して見えてくるもの:己斐の家04

最初の家の形を思い浮かべることができる場所も
今はユニットバスが入ってますが
土間からお風呂に入る扉跡が出現
土工事への続きます

床下の状態を確かめながら:己斐の家05

床下の状態を確かめながら:己斐の家05

解体工事が終了すると
屋根を新しく葺きかえる
上の工事とともに
足元の工事がはじまります

戦前の建物とお伺いしているのですが
床下は
土台がのっている縁石部分はそのまま水平に保たれ
内部は下がってしまったのでしょう

設計時に調査した時も思ったのですが
十分な床下高さがあるからなのか
湿気もなくシロアリ被害もありませんでした

床下の状態を確かめながら:己斐の家05

建物の耐用年数や
工事の予算配分から
今回の工事は
防湿コンクリートや基礎工事は行いません

床下の状態を確かめながら:己斐の家05

構造的に力がかかる部分は転圧して
ブロック・束石を施工して
その他の部分は砂利敷きに
防湿シートも敷きません
水が入っても抜けていくように

床下の状態を確かめながら:己斐の家05

大工さんが見つけて教えていただいたのですが
土台どうしのつ継ぎ手に
割楔締めがされていて
これは絶対抜けないそうです
釘も使わない
木の特性を利用した継ぎ手です

家の形状変更による軒の修復:己斐の家06

家の形状変更による軒の修復:己斐の家06

家の一部を減築するので
屋根の形が変わります
取り合いの屋根の形成工事と
軒の修復工事が進んでいます

家の形状変更による軒の修復:己斐の家06

縁側に面する部分
2階の廊下に面する部分の軒は
2重に垂木がかけてあります
お化粧軒裏です

家の形状変更による軒の修復:己斐の家06

取り合い工事をしながら
大工さんが修復をしてくださいました
化粧の軒のきれいなこと
木のリズムを感じることができる場所

家の形状変更による軒の修復:己斐の家06

他の部分を化粧板が抜けてる部分は
補修をしていただいてます

家の形状変更による軒の修復:己斐の家06

木組みについて:己斐の家07

木組みについて:己斐の家07

今のオーナーさんのお父様が
戦後購入されたこの家
築年数はいまだ不明です

戦前の頃の木造住宅と言えば
大工さんが間取りも
木組みも決めたことでしょう

木組みについて:己斐の家07

間取りを優先したのでしょうか
2階が乗っている部分の角(写真白線部)に
柱が1階部分にない場所が2か所

現場監督さんと
いろんな考えで大工さんの考えを推理します

木組みについて:己斐の家07

年月によるものか
最初からなのか
柱がないことによる傾きが構造体に出ています
柱等で補強していきます

元は伝統工法の柔構造の家を
骨組みを利用して
あらたに剛構造の家としていきます

基礎を設けていないので
地盤の上に
強い箱がのっている状態です

木組みについて:己斐の家07

既存壁に
気密状態と構造補強のため合板を貼ります

木組みについて:己斐の家07

一部間取りの変更も行うため
弱い部分には
梁の補強をしていきます

窓の取り換えについて:己斐の家08

窓の取り換えについて:己斐の家08

現場にサッシが搬入されました
西側立面の道路に面した窓の位置だし
現場で大工さんに仮に取り付けてもらい
お施主さんと確認しました

改築を始める前には
引き違いのアルミサッシが4セットついていました
さらにその前は
木製の上げ下げ窓だったと想像しております
一部洋館のような雰囲気を持つ場所です

窓の取り換えについて:己斐の家08

今回は少し開口面積を狭めて
壁をくぼませて
面落ちのデザインをすることに

窓の取り換えについて:己斐の家08

開口部の建具は
昔はすべて木製でした
昭和の時代にアルミサッシにとりかわり
その後断熱サッシとして樹脂サッシが
樹脂サッシはどれくらいの寿命なのでしょう

窓の取り換えについて:己斐の家08

今回の工事は
一部既存の木製建具を残して
その他はアルミサッシに
ガラスは熱線反射ガラスに

長押として再利用:己斐の家09

長押として再利用:己斐の家09

この三角形は何の掘り込みでしょう?
長押を鴨居などに止める釘のための
釘彫というものです
今回初めて目にしました

長押として再利用:己斐の家09

引き戸の上レールの部分
鴨居の上の
断面台形の部材が長押です
この台形の形を長押挽きというそうです

長押として再利用:己斐の家09

今回の改装で
8畳の和室を6畳にするので
写真の位置の鴨居を半間前にずらします
意匠材は再利用
天井まわりの竿縁
鴨居などを利用します

長押として再利用:己斐の家09

天井部分は六畳仕様に移動されていました
あとは加工して長押をつけるだけ

補強工事(床・壁):己斐の家10

補強工事(床・壁):己斐の家10

ここ何週間か現場に通う度に
現場監督と大工さんから家のゆがみについて
話を聞いていました
本日お施主様から
原爆にあった後の建物の話を聞きました
窓ガラスが割れて床柱に刺さっていたと
爆心地から4キロ離れた位置でも建物に風圧の影響があったようです
建物のゆがみもその時のものなのでしょうか

補強工事(床・壁):己斐の家10

柱梁の構造体による和風建築を
壁をつくり
揺れをすくなくしていきます
縁側部分も一部壁に

補強工事(床・壁):己斐の家10

2階の回廊部分も一部壁に

補強工事(床・壁):己斐の家10

全てばらして構造計算して耐震補強とは
なかなかできませんが
大工さんが直感的に組んだ構造体を活かしながら
これから50年住める構造体を構築していきます

補強工事(床・壁):己斐の家10

2階の床は合板にて水平剛性を出せるように

外壁工事(準備):己斐の家11

外壁工事(準備):己斐の家11

外壁の仕上げは杉板塗装仕上げ
大工さんの倉庫に板が搬入されました

外壁工事(準備):己斐の家11

現場でお施主さんと決めた色に
先行塗装されていきます

外壁工事(準備):己斐の家11

現場では
外壁全体に張った合板の上に
タイベックシートを貼り
通気胴縁を施工して
板を貼る下準備ができました

外壁工事(準備):己斐の家11

現場監督さんが
板のとめ方について大工さんと打ち合わせしたサンプルが壁に
後々のメンテナンス等を考えてビスで施工することに

外壁工事(木):己斐の家12

外壁工事(木):己斐の家12

ここから50年
メンテナンス等を考えた時
工業製品は品番がなくなることが多いので
杉の木の外壁を選びました

外壁工事(木):己斐の家12

建物の要素がとても多いので
外壁の色は一色に

外壁工事(木):己斐の家12

屋根から2mくらいのラインで
雨がかかることが多くなる部分は
押え縁で貼りました

外壁工事(木):己斐の家12

杉本来の色も見える
きれいな塗装面となりました
退色していくことも自然に見えるように

外壁工事(木):己斐の家12

一部洋風の外壁は
そのままの意匠をのこして
屋根のかけ方を変えました

まっすぐな線はない:己斐の家13

まっすぐな線はない:己斐の家13

図面で表す時の壁は直線ですが
改装の時の柱がまっすぐ立っていることは
ほぼありません
内部も外部の壁も柱が見える
真壁のままの改装では問題になりませんが
柱を隠してしまう大壁の場合は
ゆがみを下地で直していくことになります

まっすぐな線はない:己斐の家13

台形にして取り付けられた下地
柱の上下で傾いています

まっすぐな線はない:己斐の家13

外壁部分は
長い横材をあてると
壁の引っ込み部分があるのがわかります
下地の胴縁にさらに下地を

まっすぐな線はない:己斐の家13

新築の家では当たり前の垂直と水平
大工さんに改装工事の間中
この垂直・水平問題に取り組んでいただくことになります

左官の下地工事:己斐の家14

左官の下地工事:己斐の家14

外壁の左官下地工事
既存の軒裏のデザインをいかして

左官の下地工事:己斐の家14

テラスとして使っていた部分に
屋根をかけました

左官の下地工事:己斐の家14

和室の壁の改装
何度も塗り重ねられた仕上げ

左官の下地工事:己斐の家14

これは綿壁部分をクレイパーではぎ取ったもの

左官の下地工事:己斐の家14

きれいに仕上げるには
下地処理は欠かせません

階段を架け替える:己斐の家15

階段を架け替える:己斐の家15

階段工事が終了しました
既存住宅の階段は急勾配でしたので
全改装にあわせて
位置を含めかけ替えました
既存住宅の骨組み間取りの
良い場所を残しながら
今これからの生活に合わせるため
階段を計画することは重要です

階段を架け替える:己斐の家15

解体工事をしてみると
書院の部分に柱が入ってないことが
建物のゆがみを大きくさせているようでした

階段を架け替える:己斐の家15

壁で建物を補強して
客間の意匠を残しながら
奥のDKまで光が入るように
いよいよ建具工事が始まります

そこにある和のデザイン:己斐の家16

そこにある和のデザイン:己斐の家16

家のあちこちに
和のデザインを残したままのリノベーション
〇2階窓の手すり

そこにある和のデザイン:己斐の家16

〇丸窓と竹細工

そこにある和のデザイン:己斐の家16

〇欄間の開口部と桜の竿縁

そこにある和のデザイン:己斐の家16

〇縁側木製建具

そこにある和のデザイン:己斐の家16

〇床の間に金の襖

         

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