takehara
平屋部分を強く暖かく
床材をキッチンカウンターの腰壁に
葭戸を個室の夏の間仕切りに
三棟ある平屋部分を
改装して暮らしたい
あたたかく暮らしたい
という
お話をいただいて現場へ
だいたい初見で建物を理解できるのですが
今回は難しい
年々建物が増築されて
さらに寿命の違う素材の混合している
その上に保障期間がまだある設備が
屋根に乗っている
『何をどーするんだ』
ということをまとめる作業から
誰の寿命に合わせるの?
施主それぞれの思いはどこにあるの?
そんなことを考えながら
計画スタートです
複合問題を解くような感じです
1棟目:1964年に建てられた平屋
太陽光発電がのる
セメント瓦 土壁上に波板補修
2棟目:1972年に建てられた2階建
太陽熱給湯器がのる
セメント瓦 モルタル壁上に塗装
3棟目:1980年に建てられた2階建
窯業系瓦 モルタル壁の上に塗装
4棟目:亡くなられたお父様自作の物置
家を雨から守ってきた
屋根にあがってみる
セメント瓦が葺いてある
54年が経っている
屋根材本来の耐用年数はすぎている
竹原はセメント瓦の家が多い
雨の量は少ないと聞いたが
基材のセメントの状態を考えると
家をリフォームするときに変えるのがよいかと
建築の大先輩に意見を聞き
施主に葺き替えをおすすめする
7年前に太陽光発電をのせたとき
施工会社に屋根は大丈夫ですといわれたらしい
確かに雨はもってはなさそうですが
屋根の耐用年数については施工会社はどう考えていたのだろうか
保障についてはあと三年のこっている
太陽光発電をもう一度乗せるか等
検討することがたくさんあります
全部できればいいのでしょうが
予算があることなので優先順位を決めて計画する
最後の増築工事の
確認申請用の図面をお持ちだったので
それをもとに現況調査の開始
図面が保存してあるかどうかで
作業の手間が変わってきます
しっかり図面と書類はとっておきましょう
図面通りにはできてませんでしたが
現地調査の指針ができます
計画を進める前に
建物の構造と理解するため
押入れの点検口から
施主と一緒に屋根裏に
基本構造を理解して
どこまで手を入れるか
見せれる梁や柱か
見てみないとわからないです
野地板や梁を見たら
雨漏りしているかもわかります
単に木の組み方を見るのが好きなのですか
時間の流れを感じる瞬間です
家の調査が終了したので
計画を始める前に
施主の方にあらためて伝えさせていただきました
リフォームでできること
この家でやっておいた方が良い優先順位も
お話させていただきました
○構造的強度を上げていく
(耐震性・梁柱の補強・金物設置)
○外壁・屋根の耐用年数をあげる
(雨水の侵入を防ぐため)
○断熱性能・気密性能をあげる
○加齢に対応する
○間取りの変更
(住人の変化・使い方にあわせて)
○設備の取り換え
設計中の家は
賀茂川の河川の真横に位置
平屋の屋根が
護岸と同じ高さです
7月6日の大雨により
川の水は護岸よりあふれはしなかったものの
水によって運ばれた砂が堆積
地盤面より
川の水面があがったことで
敷地のいろんな場所から水がでてきたそうです
写真の場所からも
被害は床下浸水とのことなので
これからの工事でできることを検討
・まずは敷地内の水の流れの整理
・宅内に流れ込む場所の確認と補修
・濡れた束などの木は床組を交換
設計に反映していきます
この先10年間で
補修が必要なもの等
すべてを設計図に書き込み
工務店に見積もりを依頼しました
項目が予定より多くなり
予算がオーバーすることとなり
絶対必要である
浄化槽の交換と解体工事の金額が
高額とならない工務店と契約をすることに
ずーっと悩んだ太陽光パネル
いろんな金額をだして検討しましたが
まだ使えるので
再度屋根に載せることに
まずは撤去・持ち帰り・取り付けを依頼
平屋なので足場代などはかからず
セメント瓦は親戚の倉庫の屋根に
使えるものは最後まで使うことに
設計・見積が終わると
工事開始に向けて準備が進みます
設計依頼を受けて
家に訪問してから一年が経ちました
20190318朝
壊す前の空間の写真を撮影
前日までに
家主さんは
荷物を選別・処分・移動
これが結構大変な作業
工事着手まで時間があったので
スムーズに
いよいよ
リノベスタートです
毎回現場で必ずおこなっていること
外部と内部をつなぐ建具のチェック
施主さん立会いのもと
アルミサッシ発注前に
設計図書だけでなく
窓の大きさ高さの確認を
壊す前の現場は
川側は西側ということもあり
窓がありませんでした
全体的に家が暗くなるので
西へも開き
木製建具で調整できるように
西側は川土手なので
その緑をとりこむように
大きく開けすぎても
外からのぞきこまれるので
高さは現場で10センチほどあげました
寝室の窓はすべて10センチ小さく
部屋ができてくると
このチェックの意味が施主に伝わるようです
一番古い棟を
骨組みを残して
断熱・耐震補強をすることに
全体解体をするのではないので
大工さんを中心に
丁寧に解体作業が進みます
お父さんが自力で
建て増しした小屋から
まずは解体
母屋の外壁のかたちが見えてきました
外壁の金属波板をはずすと
土壁あらわる
今回はすべて落とします
図面のような木の壁になるように
構造的補強と
断熱と
気密の制度を高めていきます
設計中に
床下や天井裏に入って
構造体の位置を確認しました
プランニングに合わせて
新規の構造体(梁・柱)を設置し
あわせて屋根・床・外壁を合板で
構造的補強になるよう設計してました
解体してみると
梁にシロアリ被害のあとが多数
梁が強度的に期待できないものを含めて
補強の仕方をあらためて大工さんと考えます
一番のしろあり被害あとは
既存建物と今回改築している建物をつなぐ部分
屋根のかけ方に頭を悩ませる部分です
やはりうまく水を流せてない部分は
湿気を含みシロアリの攻撃を受けてました
つなぎ部分の屋根の形状では
水の処理が不安なので
解体かけなおしを工事に入れておいて正解
被害が発覚しましたが
予算を見込んでなかったので
キッチンのグレード他
変更できるもので予算を捻出しました
構造的な不安をすべてなくして次の工事へ
寒さへの対策は
・隙間風が入らないよう
・建物自体が冷えないように
・窓から太陽光を取り入れる
を考えます
壁・天井は
地域にあった断熱抵抗値をもった
断熱材を入れこみ
その上に気密シートをはります
気密シートは断熱材の中に水分が入って
壁の中で結露するのを防ぎます
床は
断熱材を床組の間に敷きこみ
その上の合板で
気密をとります
外壁に張った合板およびシートでも
空気の流れを止めています
床と外壁の接触部分から
壁の中に冷たい空気が入らないように
日差しが当たるのは西日が主なので
夏は暑さを妨げるよう窓に内窓を設け
冬は暖かさを取り込みます
改築するとき
それは補強ができるとき
改築部は平屋なので
単体で動きが少なくなるように
かためる系の補強をしていきました
まずは既存の基礎を利用して
床組をレベル200あげて組みます
川が近いので床上浸水を多少でも防ぐため
その上に厚さ24ミリの合板で
床の水平剛性を高めます
(床の動きを止める)
既存の壁は土壁でしたが
今回は断熱補強も行うので
土壁は残さず
外壁の下地を合板張りに
揺れを防ぐようにします
屋根に関しても
瓦を取り換えるのと同時に
垂木の補強と
下地を合板張りにしました
新しい間取りに合わせて
柱および梁を追加していきます
LDKの大きな空間を支える
梁の大きさがたりないので
下から補強梁を入れて
側面に合板を張って仕上げます
既存の構造体と新しい構造体を
がっちりと合板で固めて補強終了です
母屋の構造(梁・柱)の補強が終了
50年近く使った
セメント瓦を取りやめて
凍害もなさそうな地域なので
色のある三州瓦を選択しました
屋根が軽くなると
建物の補強も少なくなるのですが
瓦は施主のマスト工事
垂木の補強
屋根の下地の葺き替え
瓦工事に
屋根裏の空気を棟部分から排出
暑い夏に備えます
既存部分との取り合い
下屋部分の屋根のかけなおし
あらためて水の流れをつくります
金属板で施工の準備
外壁は杉板の目板張り(写真は試し張り)
既存部分の再塗装の色を
合わせて決めていきます
緑いろに決定
外壁チェンジは
一番の家の雰囲気が変化する時
杉板の外壁は
遠くからでも目につく存在感です
張りあがった日から
木目は陽でやけていきます
杉板の下地は
18x45の横胴縁(空気の流れ用)
タイベックシート(最終防水用)
構造用合板(構造補強用)
青緑色の瓦の下地は
既存の屋根下地をはぎ取って
垂木の補強と構造用合板張り
(また太陽光パネルをのせるので)
断熱改修のため
外壁土壁はすべて落としました
土壁残して
内部や外部に補強も考えられますが
間取りが同じ場合に有効です
ここから始まりました
新築工事では
すべてを設計して
調和をとればよいのですが
改装工事では
何を残すのかが
計画するうえで重要になり
またアクセントとなります
残ったものを
大きなものから
建築年代の違う三棟の関係性
平屋の部分で3棟がつながってます
生活の中心を平屋に移設
空間ごと残した玄関
建物の配置的に
玄関の位置を変えることができないので
床材・柱・天井・靴箱ごと
そのまま残してみました
玄関の壁は
先日施主工事にて
薄いグレーの塗り壁に変わりました
木製建具も
間仕切り壁として利用
欄間部分に使われいた
模様入りのガラスも
物入れの扉などで利用
玄関を照らすための
照明器具の木製の台座
竿縁天井を残すので
別の場所から移して再利用です
築53年の木造住宅を
重ねてきた増築部分を活かしながら
一番古い平屋部分を改築
あと40年の暮らしを想像
あたたかく・安全な
空間つくりをめざしました
これからのメンテナンスを考えて
屋根は
耐用年数を越しているセメント瓦をおろして
外壁は杉板とモルタルで
所々時間超えたものをつかいながら
玄関は既存状態をのこしつつ
内部はアカシア無垢床板で
これまでの家の理解し
これからの家での生活をrepuroduce
リノベーションかかわる話を
聞きにきてください
来られるときには
ご予約いただけると
スームーズに案内できます
ぽれぽれ工房さんの陶器と一緒に空間を
お楽しみください
近くにある工房も見学可能です
施主である
ぽれぽれ工房の下迫さんと
一緒に
うつわを生活空間に飾ってみました
完成見学会の準備完了です
三年前に改築した家の杉板の外壁
最初はむらがありましたが
やっと全体がグレーに落ち着いてきました
塗装するか悩んで
無塗装に
ここからはメンテナンスフリーです
杉板の板厚が外壁の寿命
最初に塗装するのは汚れを防止するけど
自然な仕上がりにはなりにくいので
続けて塗装をしていくことに
どちらが良いか好みのお話ですが
20年後になるとどれも濃い色で塗装するか
グレーを許容することになるのが
杉板の外壁だと思います
経年変化が楽しめない人は違う素材を選んだ方が良いです
どこから・なにからはじめてよいかわからない方も大歓迎
まずはお気軽にご相談ください
暮らしをアップデートするアイディアをご提案します