無垢の床板と暮らす – 手をかけるほどに深まる愛着

設計事務所を始めたころに聞いた「縁側の床板を米ぬかで磨く」という話
当時は大変な作業だと感じたが、無垢の床板の家に住んでみると日々のメンテナンスが当たり前の習慣になった
汚れをやすりで落とし、オイルを塗り直す
手をかけるほどに、床は美しくなり、家への愛着も増していく
無垢の床の良さは、年を重ねるごとに味わいが深まることにある
化学塗料で固められた床と違い、木そのものの変化を楽しむことができる
国や文化によって家の中で靴を履く・脱ぐ習慣は異なるが
素足で木の床を歩いたときの心地よさは、どの国でも共通ではないだろうか
カイユボットの絵画「床を削る人々」に描かれたように
木の床は人の手によって維持され、長く生き続けるもの
そうした手間をいとわず、住み手とともに成長する家をつくっていきたいと思う
2020/12/14
エッフェル塔は高ではない ディテールが美しい

details=細部=ディテール
最初にパリに行った時は
エッフェル塔を遠くから見るだけで満足して登るのを忘れてました
大きく遠くから見て近くでは見ず
次に行ったときにのぼると
エッフェル塔の近くまで出かけていき
鉄骨部材の美しさに惚れ惚れしました
パリの中心で輝き続ける建物は高くて目立つだけでなく細部も美しい
2020/10/27
無人島の教会 – 野崎島・旧野首教会を訪ねて

ロビンソン・クルーソーを再読しながら
「無人島」という言葉に惹かれ、思い浮かんだのが長崎県の野崎島
かつて人が暮らし、今は無人島となった場所
そして、そこに静かに佇む旧野首(のくび)教会。
この教会は、そこに暮らしていた信者たちが、生活の中で捻出したお金で建てたものです
西洋建築の美しい姿を持ちながら、決して豪華ではなく、土地の人々の思いが詰まった建物
今も保存され、その存在がこの島に生きた人々の歴史を語っています
無人島に残る教会
その風景は、信仰だけでなく、建築の意味を考えさせてくれます
建築は公共のものになり得るのか、誰のためにつくられるのか
住む人がいなくなった後も、その場所の記憶をとどめるものになりうるのか
2020/09/02
歴史を肌で感じたベルリン – 東西ドイツ

1990年の夏、私はベルリンにいました
西ベルリンでは壁のかけらがお土産として売られ
この門をくぐり訪れた東ドイツ側はまるで白黒の世界のように見えたのを覚えています
境界があった街、その境界が消えつつある瞬間
1989年11月9日にベルリンの壁が崩壊し
1990年10月3日に東西ドイツが統一されるまでの間
歴史の転換点をまさに目の当たりにしました
今振り返ると、その時に感じたものは、単なる「変化」ではなく
「時間の積み重ねが形を変えていく」ことだったのかもしれません
あれから何度かベルリンを訪れるたびに、街の変化を感じ、その度に1990年の記憶がよみがえります
ベルリンは、過去と未来が共存する都市です
歴史を記憶しながらも、今を生きる人々の活気があり、新しい文化が生まれ続けています
建築もまた、その変化を映し出すもののひとつ
壊されたもの、残されたもの、新しくつくられたものが融合し、街の姿をつくっていくのです
私たちが設計する建築も、住む人の記憶や時間の積み重ねを受け継ぐものになってほしい
歴史を感じながら、新しい価値を加えていく
そんな家 建築を目指したいと思います
2020/08/02
日常の中で夕日を楽しむ バンクーバー

観光地では夕日や朝日を楽しむことはよくありますが
日常の空間の中で写真のように夕日を眺めながら過ごす時間があったら素敵だと思いませんか
バンクーバーでの時間は、自然と街の景色がうまく調和していて
夕日を眺めることができる場所がたくさんあります
夕日の美しさを友人や家族と共有できる瞬間は、とても特別なものです
目の前の景色とともに、その場にいる人々と空間や時間を共有することが、どんなに大切で心地よいことか
そうした瞬間が、日常の中で自然に生まれる空間があれば、本当に贅沢な時間だと感じます
美しい景色とともに暮らすことができる環境で、毎日を過ごせたら
そうした景色を身近に感じながら、家族や大切な人たちと一緒に過ごすことができる
空間づくりを目指したいと改めて思います
2020/07/27
街を活かした運動 – 市民生活とワークアウト

最近、街中でランニングをしている人をよく見かけますが
以前ヘルシンキ大聖堂前の階段で、トレーナーをつけてワークアウトしている人たちを見かけました
ジムに行かなくても、街を利用して運動するのも楽しそうですね

ウィーンのシェーンブルグ宮殿で建物内部見学後に、グロリエッテの丘でブランチをしようと公園内を歩いていた時、準備運動をしてから走り出す集団を見かけました
なんとその集団は、ベビーカーに子供を乗せたママたちでした
産後のワークアウトなのでしょうか
私も不思議な光景を写真に収めたくて、思わず走ってついていきました
観光地であっても、ここは市民の日常の一部
公園は地元の人たちにとっても大切な生活の場なんだと感じます
美しい景色の中でワークアウトをするのはとても気持ちが良さそうで、参加したくなります
自分の住んでいる場所でも、もっとこうした活動ができれば素敵だなと思います
2020/07/21
山の上でリフレッシュ 窓が山
事務所から車で20分ほど
車を停めてから約25分の山道を登ると
瀬戸内海の美しい景色が広がります
この景色を窓から眺めるだけで、ちょっとした気分転換です
東京で働いていたころは、都庁の展望スペースに出かけて
地上から少し空に近い場所に行きたくなる時がありました
そういう気分にさせてくれる景色が、こちらでも手軽に楽しめるのです
時々、日常から少し距離を置いて、空気のきれいな場所で一息つくことが
思いがけずリフレッシュになります

2020/07/14
王様の散歩道を歩く スウェーデン・アビスコ

自然の中を自由に歩くことができる、それだけで素敵なことですよね
アビスコ国立公園で王様の散歩道を歩いて
まさにその感覚を味わってきました
スウェーデンには「自然享受権」という特別な権利が憲法で保障されています
簡単に言うと、誰でも自然の中で自由に過ごして良いという権利です
山の中を歩く際、ルートや禁止事項がたくさんある場所もありますが
北欧では違います
自然の中なら、ベリーやキノコを誰が取っても問題ないとのこと
もちろん、土地の所有者に損害を与えないことが前提ですが
みんなの自然という意識が根付いているからこそ、こうした自由が生まれるのだと思います
このような文化を目の当たりにしながら、自然と共に過ごす素晴らしさを感じました
人々が自然を敬い、大切にしていることが伝わってきます
2020/07/13
アンブレラ スカイ in ポルトガル

写真を見るとなぜか心が動かされます
ポルトガルの小さな町、アゲダで毎年夏に開催されている「アンブレラスカイプロジェクト」もその一つ
色とりどりの傘が空に広がり、ただ吊るされているだけの風景
これを見た瞬間、どこかに行きたくなる不思議な力があるのです
カラフルな熱気球が空に舞い上がるのを見たときの感覚に似ているかもしれません
色彩と動きが視覚的な魅力を生み出し、心を引きつけます
アゲダの街並みは、まるで空を埋め尽くす傘がその街を彩り
街全体がアートのように見えてくるから不思議です
とても小さな町をすごい勢いで世界的に有名にしたプロジェクト
街の人たちが楽しんでいるのはもちろん
その後同じようなことを世界各地でおこなわれていました
再現することが難しくなく誰でもできる素敵なプロジェクトです
2020/07/10
コペンハーゲン 楽しく街をあるくこと

1998年の旅で日本を飛び立って最初に降り立ったのはコペンハーゲンでした
その日のうちに、ツーリストインフォメーションで見かけた無料のガイドツアーに参加することに
ツアーは、街を散策しながらガイドの説明を聞き、途中でカフェでお茶をしながら休憩するという内容
何気ないことのように思えますが
ガイドさんがいること
一緒に歩く他の参加者がいることで
普段なら気づかない視点が得られることを実感しました
ツアーで出会ったノルウェー人のラガハイド
彼女はツアーの途中、私に「歩くことを楽しんでいるか?」と声をかけてくれました
その一言で、旅の新たな意味が広がったように感じます
自分が感じている景色や街の雰囲気が、他の人の視点を通してどんな風に映るのかを考えさせられた瞬間でした
その時から旅が本当の意味で始まった気がします
ラガハイドとの出会いがきっかけとなり
その後の旅の体験がより楽しめた気がしています
2020/06/28
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