熊本県営帯山A団地 ― 30年越しの再訪

熊本県営帯山A団地 ― 30年越しの再訪
大学三年生のときのアルバイトで 熊本県営帯山A団地の竣工模型 制作のお手伝いをしました
建築の話を聞きながらの作業は、大学の講義とはまた違った リアルな建築の空気 を感じる貴重な経験でした

その帯山団地を建築を学んでいる姪っ子と訪れ
敷地内に設けられた スカイウォーク を一周してみました
隣接する 保田窪団地 との違いについて話しながら歩きます

保田窪団地は 住人専用の広場 を持ち、建物の内側は外に開かれていません
一方、帯山団地は スカイウォークを含め、街に対して開かれた設計 になっています
大学時代にこの公共団地における建築家の提案が話題になっていました
中庭は住人だけのものにしてよいのか

30年ぶりに訪れてみると
帯山団地の持つやさしいデザイン に改めて気づきます
ただ、どちらの団地にも言えるのは
建築のもつ プログラムを理解し、楽しめる住人 が必要だということ
民間の住宅であれば、そういう人を募集することもできるのでしょうが……。
2023/05/03
公衆トイレの新しい形ー熊本アートポリスコンペ

建築を見るために熊本を訪ねるので
新しいアートポリスプロジェクトを見ようと調べたところ
大学の近くの立田山自然公園に
設計競技で建てられた公衆トイレがあること発見

個室のトイレのブースが
山に向かって並べられ
ブースから出ると見えるのは山
よくある暗い・狭い 手洗い場を消去して
すぐに外へ出れる
この環境でつくられるトイレに最適

そのかわりなのか
個室ブースで囲む中庭のような内部空間には
抜けわたる青い空が用意されていました

ランダムに組まれた丸太の屋根は軽く安く仕上げられ
どこまでも風が抜けわたる
公衆トイレの新しい形を見せていただきました
これが建築デザインの力だ
2023/05/02
再訪:熊本城 ― 震災を越えて

大学時代、熊本城をいろんな角度から見上げながら過ごしていました
そんな思い出の場所を、震災後久しぶりに訪れ、入城することにしました

本丸が復旧されてから新たに設けられた アプローチ用の通路
そこから眺める城は、かつてとは違う視点を楽しませてくれます

崩れた石垣は壊れないように
モルタルで補強 され
復旧工事が進められていました

天守から二の丸公園を見下ろすと
当時の記憶が蘇ります
「お城に行く=二の丸公園」 だった大学時代
木の下で、どれだけの時間を過ごしたことでしょう
30年が経っても、大きな木々は変わらずそこにありました

復旧のためナンバリングされた石 が並べられ
元の位置に組み直されるのを待っています
壊れていても、熊本城の持つ 力強さ は失われていませんでした
2023/05/01
土門拳記念館 :酒田市― 空間と写真に向き合う

土門拳記念館 ― 空間と写真に向き合う
「好きな建築は?」と聞かれたら 迷わず 土門拳記念館 と答えていました
フィンランドのアアルト設計によるイマトラの教会 を見に行くまでは
この夏、再び 酒田 を訪れ、あの空間をもう一度体験することにしました
前回訪れたのは、大学四年生になる前の春休み
建築の詳細を深く理解していたわけではなく、空間構成 だけを追いかけていた時期でした
それでも、その体験は鮮明に思い出せます
大学生の私は記念館の空間のつくりが、土門拳さんの写真との向き合い方 を表しているように感じられ
「空間づくりとは、こういうものなのか」と、強く感動したのを覚えています
今回の展示は、さまざまな 手 の写真でした
前回訪れたときの展示内容は異なりましたが、帰りに 手の写真集 を買っていたことを思い出しました
それすら忘れていたのに
後になって 事務所の名前を決めるときに思い浮かんだのが “レフトハンズ”
時間が重なり合い、記憶がつながっていく
土門拳記念館は、自分にとって特別な場所になりました
そして、やはり 好きな建物では、ただ座っているだけで満たされる ものです
2022/10/07
駒蔵に出会う 江川邸(韮山役所跡)

ずっと見ていたくなる建築 ― 駒蔵
時々、ずっと見ていたくなる建物に出会います
駒蔵 もそのひとつ
この建物がどのような過程を経て、この形になったのか
そんなことを想像しながら眺めていました
そもそも 蔵 とは、大切なものをしまっておく場所
そこには、火災や温度変化から守るための 知恵 が詰まっています。

- 別棟として建てられ、厚い 漆喰の壁 で保護されている。
- 屋根部分まで漆喰で仕上げ、その上に 二重の屋根 をかけ、温度変化を防ぐ。

- 軒部分には 伊豆石 を用い、形と素材のバランスが見事。

- 内部の木組みも美しく、梁は 井桁状 に組まれ、リズム感のある構造となっている
機能性に裏打ちされた美しさ 知恵とデザイン性が融合した建築
ちなみに、江川邸(韮山役所跡) 本邸の木組みも素晴らしく、同じく見ごたえのある建築です
2022/03/08
シドニー・オペラハウスのような建築を設計したい

シドニー・オペラハウスのような建築を設計したい
シドニーの オペラハウス のような建物を設計してみたい
建築雑誌で見てからずっとあこがれの建物です
大きさはさておき
私が目指すのは 環境のデザイン、まちのデザイン、土木工事のデザイン
そして 建物のデザイン が調和し、ひとつの音楽のように響き合う空間
そこに訪れる人々が、くつろぎ、楽しみを見つけ、心を動かされるような場所
そんな建築を、いつか形にしてみたい
2021/03/17
レーモンドの家を再現した建築 ― 井上房一郎邸
アントニン・レーモンドの家を再現した建築 ― 井上房一郎邸
建築家 アントニン・レーモンド の事務所兼住居と、
まったく同じものを発注し建てた友人の家が、高崎に現存する 井上房一郎邸 です
雑誌などで目にしていた レーモンド建築の特徴的な丸太の梁 を実際に見ると
そのリズム感のある美しい構造に圧倒されます
どれだけ眺めていても飽きることがありません
木材は、四角に製材されたものだけでなく、 丸太や長方形の材 でも素晴らしい建築ができる
丸太の可能性を改めて感じました。こんな梁をもった木造建築を自分でも設計してみたいものです
映画『人生フルーツ』で登場する 津端修一邸 にも使われています
木の持つ力強さと柔らかさを感じるこの構造体は、時代を超えて人々を魅了し続けるのだと実感しました

建築家アントニオ・レーモンドの事務所兼家の建築を
全く同じものを建てた友人の家
井上房一郎邸が高崎に現存します
雑誌等で見ていた丸太の梁
リズム感があってとっても美しい構造体
いくらでも眺めてられます
材木は四角でなくても丸でも長方形でもいいんですよ
こんな梁をもった木造建築をいつか建てたいな
この梁は映画『人生フルーツ』に主人公
津端修一邸にも使われています
2021/02/18
旧三井家下鴨別邸 ― 木造住宅建築の美を楽しむ

旧三井家下鴨別邸 ― 木造住宅建築の美を楽しむ
出町柳駅から下鴨神社へ向かって歩くと、糺の森の入り口に 旧三井家下鴨別邸 があります
京都といえば、神社仏閣を巡る方が多いですが
歴史ある 木造住宅建築 を見学するのもおすすめです
特に、旧三井家下鴨別邸では、美しい 日本庭園 もセットで楽しめます
この別邸は、耐震補強を施されながら大切に保存されており、建物と庭園が一体となった設計が魅力です
各階ごとに庭との関係を考慮してつくられており、どこから眺めても風景の美しさが際立ちます
最上階の 三階には望楼 が設けられ、そこからは 鴨川や東山の眺望 が広がるそうです
私は庭から見上げる建物の美しさに、ただただ見とれてしまいました
京都を訪れた際には、 日本の住宅建築の美 にも触れてみてはいかがでしょうか
いろんな細かな配慮が体験できますよ
2021/01/16
武雄温泉・元湯 ― 日本最古の現役温泉施設

武雄温泉・元湯 ― 日本最古の現役温泉施設
武雄温泉の元湯は、明治9年(1876年)に建てられ、現在も使われている日本最古の温泉施設です
歴史ある温泉に実際に入ってみると
お風呂部分の天井は非常に高く、上部には壁が設けられていないため、空気が自由に流れています
まるで屋外にいるかのような開放感の中で、熱い湯に浸かる体験は格別です
この絶え間ない空気の流れこそが、温泉施設が長持ちする秘訣なのかもしれません
湯船につかりながら、まっすぐに組まれた美しい木組みを眺めるひととき
熱いお湯とともに、心も体も解きほぐされていくような感覚になります
写真は武雄温泉新館のお風呂
こちらも換気がしっかりと考慮され、窓が大きく設けられています
新館は大正4年(1915年)に建てられたものを改修し、現在は国の重要文化財に指定されています
温泉は、日本の文化のひとつ。
その土地の歴史や建築とともに、長く受け継がれてきたものだと改めて感じました
2020/11/06
嬉野温泉で泊まる 旅館大正屋

嬉野温泉・旅館大正屋 ― 増築を重ねた趣ある空間
初めて嬉野温泉を訪れたとき、私は勝手に温泉郷が山の中にあるものだと想像していました
しかし、実際に訪れてみると、旅館大正屋は盆地の街中に位置しており、その立地にも驚かされました
私が泊まったお部屋はからお庭は見えましたが
それだけでなく、温泉、温泉への通路、食堂、ホールなど、館内のあらゆる場所から豊かな緑が楽しめます
この旅館は、増築を重ねてつくられてきた歴史ある建物です
同じ設計者に頼み続けてきたことで、全体として統一感があり
迷路のように入り組んだ構造にも楽しさを見出せます
特にホールでのくつろぎの時間は、滞在を楽しくする要素です
静かな時間の中で、心身ともにリラックスできる場所が提供されています
もっと滞在を楽しむために時間があれば、さらに多くの魅力を発見できたでしょう
2020/11/04
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